大好きなパパ失って16年、苦しんだからこそ 高3が母に示した決意

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茂木克信
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 父の記憶はない。

 16年前、38歳でこの世を去った。自分は1歳。4歳の兄、37歳の母と3人家族になった。

 何があったのか知ったのは11歳のとき。そして、心強い味方がいるとわかったとき、めざす道ができた。

「何かある」感じた思い出話

 物心がついたときには、母の隣で父の遺影に手を合わせていた。小さいころは、寝る前によく3人で星空を眺めた。

 「パパはどこかな」。母に聞かれ、一番輝く星を探した。「いっぱい愛されていたんだよ」。そう言って母は、父の思い出話をしてくれた。

 娘の誕生を喜び、病院に毎日会いに来て抱っこしてくれたこと。

 家でおむつを替えたり、お風呂に入れたりしてくれたこと。

 7人乗りの車に買い替え、「家族みんなでディズニーランドに行ったり、両親と温泉旅行に行って親孝行したりしたい」とうれしそうにしていたこと。

 でも、なぜ亡くなったのかは言わなかった。何かある、と感じた。

 聞いてはいけない気がして、知りたい思いは心の奥底にしまった。兄ともこの話はしないようにした。友だちに父親がいないわけを聞かれ、とっさに「がんだった」と答えたこともあった。

母の話に悔しくて涙が出た

 小学6年生のある夜。ご飯前に母が何か話したそうにしていた。言葉が見つからないようだった。

 「あのことか」と悟った。い…

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