二重被爆者の短歌を書に 神戸の書家が広島で想像した「人間筏」

有料記事核といのちを考える

花房吾早子

 広島と長崎で被爆した「二重被爆」の体験を世界に伝えた山口彊(つとむ)さん(1916~2010)がのこした短歌を書にしたためたい――。山口さんの人生の物語に突き動かされた神戸の書家が、平和への思いを筆で受け継いでいる。

 《大広島 炎(も)え轟(とどろ)きし朝明けて 川流れ来る人間筏(いかだ)》

 山口さんは三菱重工業長崎造船所の設計技師だった1945年8月6日、出張先の広島で被爆した。家族と住む長崎に帰る前日だった。やけどした体を引きずりながら目にした、川面を埋め尽くす遺体。忘れられない光景を歌にした。

 《うち重なり 焼けて死にたる人間の 脂滲(にじ)みし土は乾かず》

 《黒き雨 また降るなかれに…

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この記事を書いた人
花房吾早子
大阪社会部|平和・人権担当
専門・関心分野
原爆、核廃絶、ジェンダー、LGBTQ+
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