張栩九段、敗北を挫折とは思わない 「私が引き込まれた壮大な何か」
北野新太
いつ、どのように出会ったのか。なぜ棋士を志したのか。どうしたら魅力を伝えられるのか――。苦境にある囲碁界を生きる棋士たちの肉声を伝える連載「囲碁よ」。張栩九段(43)の物語から。
小学校入学の時に掲げた志 10歳で日本へ
囲碁には他のゲームとは一線を画すものがあると思っています。
私は父に勧められて3歳からトランプやパズル、中国将棋などに触れていましたが、囲碁を始めたのは6歳になってからです。父はもっと早く教えたかったようですが、小さすぎる子は囲碁の深い世界には入っていけないのでは、と考えたのです。
父はアマ初段くらいの棋力でしたが、圧倒的な広さと絶対的な深さを持つ囲碁の世界、そして棋士という職業に憧れを抱いていました。
6歳で始めた私の覚えは早く…