30代で教員、69歳で司法書士に 自信の裏にある「人生の敗北」

有料記事

具志堅直
[PR]

 69歳で司法書士や1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得し、70歳の昨年9月、念願の法務事務所を独立開業した。「一生勉強 一生青春」を座右の銘とする神奈川県横須賀市の元高校教諭安東健郎さん(71)の人生は、「敗者復活戦」だという。

 毎朝、午前3時起床。洗顔もそこそこに事務所を兼ねた書斎で高カカオチョコレート2枚をかじりながらコーヒーを飲む。

 4時から7時までの3時間、書類の準備に集中する。果物とヨーグルト、トーストの朝食を済ませると、法務局のオンライン申請が始まる8時半から正午ごろまで不動産登記などの手続きをパソコンで手際よく進める。

 来客や訪問業務の予定がなければ、午後からはウォーキング。1日平均13~14キロ、サンドイッチの軽食を持ち、頭を空にして東京湾に浮かぶ船を眺めながら海岸沿いを歩いたり、山道を登ったり。

 力の源は「規則正しい生活と運動の継続」だという。その自信に満ちた言葉は、かつて経験した「人生の敗北」がバネとなっている。

司法試験は5回不合格、自らに問うた

 故郷の大分県を出て1972年に中央大学法学部に進学した。当時学内は学費値上げ反対運動などがあり、授業にほとんど出ず、貧困や社会的弱者を支援する活動に入れ込んだ。

 一方で、大学5年生のときを…

この記事は有料記事です。残り964文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2023年12月16日7時54分 投稿
    【視点】

    「一生勉強 一生青春」。 私も見習わないとと思いました。 ずっと努力を重ねてきたであろう安東さんに、エールを送ります。 人と違った経歴を持つ士業というのは意外と重宝されるもので、遅咲きでも決してデメリットではありません。 私と同じ事務所の

    …続きを読む