欧州連合(EU)の行政機関、欧州委員会は9日、日本企業も対応を迫られることになる、人工知能(AI)を包括的に規制する「AI法案」について、大筋合意したと発表した。欧州委のほか、EUの立法機関にあたる欧州議会と加盟国が6日から、計37時間協議し、最後まで調整が続いたが、当初目指していた年内合意にはこぎ着けた形だ。
合意を受け、欧州委のフォンデアライエン委員長は同日、「EUのAI法は世界で史上初めて、AIの包括的な法的枠組みだ。特定可能なリスクに規制を集中させることで、欧州での責任あるイノベーションの促進につながる」と誇った。
欧州委の発表によると、法案は民主主義の原則や人種や宗教など基本的人権へのAIによる脅威を防ぐことを主眼に、利用方法ごとにAIのリスクを四つに分類。公的機関や企業が個人を点数化して信用評価を行うことや、未成年者に危険な行動を促す音声システムなどを最もリスクが高い分類として、使用を禁止した。
2番目に危険とされる「高リスク」の分類には、入試や採用試験での評価にAIを使う場合や、電気、水道といった重要インフラの管理などが含まれる。企業はAI使用の追跡や監査ができるよう記録を残したり、事前に適合性を確認したりする義務が課せられる。市民も義務を求める当事者になれる。自分の権利に影響を与えうる高リスクのAIがどのようなものなのか、説明を受ける権利がある。
欧州議会の発表によると、違反した企業は、最大で3500万ユーロ(約54億4千万円)か世界売上高の7%のうち、高い方の金額が制裁金として科される。
37時間の協議の背景は…
「ChatGPT(チャット…