「論外の所業」 自民党派閥の裏金づくり、何が問われているのか

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中野浩至 本山秀樹 長野佑介

 自民党の派閥による裏金疑惑が、内閣の要である官房長官をはじめ、安倍派の有力者に広がった。「政治とカネ」が改めて問われている。

「税逃れの可能性」

 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる今回の問題では、所属する派閥からパーティー券収入の一部をキックバック(還流)された議員が政治資金収支報告書に記載せず、裏金にしていたとされる。東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑を視野に調べているが、税法に詳しい三木義一・青山学院大名誉教授は、議員の「税逃れ」の可能性を指摘する。

 三木さんによれば、政治団体の場合、パーティー券を販売して収入を得ることは、法人税の対象である「収益事業」とはみなされない解釈が続いており、非課税になる。

 一方、キックバックは議員の「雑所得」として、所得税の納税義務が生じる可能性がある。収入のうち、政治活動に使ったお金は経費に計上できるが、私的に使った分は経費として認められない。議員は収入から経費を差し引いて所得を申告する必要があるという。

 キックバックのほかにも、議…

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この記事を書いた人
中野浩至
東京社会部
専門・関心分野
税務、独占禁止法、事件・事故
長野佑介
西部報道センター次長
専門・関心分野
時事ニュース全般、地方自治、選挙、言論・メディア
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    パトリック・ハーラン
    (お笑い芸人・タレント)
    2023年12月9日15時12分 投稿
    【視点】

    2020年1月に「桜を見る会」の招待者名簿が行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったことを当時の菅官房長官が認めた。事務所の記載漏れだとしたが、それでも違法性を認めている。  3年弱前、ついこの間の出来事だ。安倍派の皆さんは金の杜撰な管

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  • commentatorHeader
    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2023年12月10日23時25分 投稿
    【視点】

    かつてのリクルート事件が贈収賄問題であったのに対して、今回の裏金問題は、派閥さらには党ガバナンスの不備という問題です。政治資金規正法は、こうした不備を見逃すような粗い規定でしたが、問題が刑事事件や脱税さらには国民からの信頼への裏切りといった

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