奈良・高松塚古墳の「失われた」木棺を復元 金色に輝く台も 橿考研

清水謙司

 「飛鳥美人」など国宝壁画で知られる奈良県明日香村の高松塚古墳(特別史跡、7世紀末~8世紀初め)の木棺が復元され、県立橿原考古学研究所(橿考研)が8日発表した。最新の研究成果などから、1300年前の姿を忠実に再現した。

 長さ約2メートル、幅約60センチ、高さ約50センチのスギ板製。外側は黒漆、内側は水銀朱で仕上げた。金銅製の飾り金具も取り付け、金色に輝く漆箔(しっぱく)仕上げの棺台に据えた。

 1972年の壁画発見時、木棺は鎌倉時代の盗掘の影響などで大部分が失われていたが、底板や破片、飾り金具が複数発見された。橿考研は2022年の壁画発見50年を機に復元に取り組み、東京芸術大、奈良文化財研究所、東京文化財研究所の研究者らと共に、約1年かけて完成させた。

 木棺は壁画に囲まれるように石室の中央部に置かれていたようだ。葬られた人物は特定されていないが、身分の高い男性が想定されるという。

 橿考研の青柳正規所長は「高松塚古墳のありし日の姿を思い描いていただければ」と話した。

 9日から24年1月14日まで、橿考研付属博物館(同県橿原市)で公開する。年末年始と月曜日は休館。(清水謙司)…

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    清水謙司
    (朝日新聞記者=歴史・寺社文化財など)
    2023年12月8日20時27分 投稿
    【視点】

    過去の発掘調査や、出土した数々の遺物の研究成果をフル活用して再現されたこの木棺と棺台。もちろん、ご覧いただいている形のまま石室に残されていたわけではありません。木棺は底板、大量の残片、飾り金具などが見つかりました。金色に輝く棺台は、その残片

    …続きを読む