映画界の性被害告発者が語る「疲弊しきった」現状、メディアにも苦言

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細見卓司

 昨年春に映画監督から性的関係を強要されたとして被害を告発した俳優や、支援する映画関係者らで構成する「映像業界における性加害・性暴力をなくす会」のメンバー3人が7日、東京都内の日本外国特派員協会で会見した。同会は、過去の性被害について調査・検証する第三者機関の設置などを求めてきたが、会見でも「連帯によって被害が起きにくい環境の整備と、被害当事者を孤立させない仕組み作りが必要だ」などと強調。メディアの報道姿勢に苦言を呈しつつ、「いつまでたっても、特定の支援者と被害当事者が声をあげるしかなく、疲弊しきっている。国には積極的な関与を求めたい。今この瞬間から、一人でも多くの支援者が増えて欲しい。ひとごとだと思わずに社会全体の問題として受け止めていただきたい」と訴えた。

 会見したのは、昨年春に実名で映画監督からの性被害の告発に踏み切った俳優で文筆家の睡蓮(すいれん)みどりさんや、自身が出演した映画の撮影中に、映画監督から性行為のシーンを強要されたと2017年に告発した映画監督の加賀賢三さん、映画撮影を担当しているカメラマンの早坂伸さんの3人。

 睡蓮さんは、「性暴力はいつ、どこでも誰の身にも起こりうることだ。日本では今年ジャニーズや歌舞伎などで起きた性暴力についても報道され、性加害に対して世間が関心を寄せていることも感じている。一方で、これまでどれだけ声をあげても映画業界の問題、個人の問題だと矮小(わいしょう)化されてきてしまっていた。現状、被害当事者は救済されることなく、置き去りにされたままだ」と強調した。

 「今の日本には性暴力について正しく語る土壌さえないと思わされる。私自身も長い間、自分の身に起きたことを性暴力だと認識できないままだった。日本社会全体の性暴力に対する軽視や無理解、家父長制的な価値観や権力勾配を『自由恋愛』などと加害者の都合のいいように言い換え、立場の弱い側が搾取され続けてきたことは深刻な問題だ。本来戦うべき相手は加害者であるはずなのに、幾重にも問題が目の前に立ちはだかり、道をふさがれるという苦しみの渦中にいる」と語った。

「個人の問題に還元され、恋愛スキャンダルかのように……」。会見では、メディアの姿勢への苦言や、「スラップ訴訟」、SNSによる二次被害にも話が及びました。

 また、メディアの報道姿勢に…

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