「凶悪犯をなぜ弁護するのか」 青葉被告の弁護人が法廷で語ったこと

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山本逸生

 「我々の活動は理解されにくいが、真実を浮き彫りにするため、あえて真逆(まぎゃく)の立場から意見を申し上げる。そのために今日ここに立っている」

 36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判で7日、青葉真司被告(45)の弁護人を務める遠山大輔弁護士は最終弁論でこう訴えた。

 青葉被告の裁判をめぐっては、多くの犠牲者が出たことなどから、弁護団に対し、「凶悪犯をなぜ弁護するのか」といった批判がネット上で相次いでいた。

 遺族の意見陳述でも、京アニ第1スタジオの建物の構造が被害を拡大させた可能性があるとする弁護側の主張に対し、「傷ついた」と打ち明けた人がいた。法廷での弁護活動を「遺族の心情を軽視している」と疑問視する声もあった。

 遠山弁護士はこの日の最終弁論で、「遺族の処罰感情は十分にくみ取られるべきものだ」と述べた。一方で、「青葉被告に刑事責任能力は認められない」と主張していることを念頭に、「処罰感情が峻烈(しゅんれつ)だからといって、死刑にしてはいけない」と投げかけた。

 6日の被告人質問でこんな場…

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この記事を書いた人
山本逸生
大阪社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、福祉、労働
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    西岡研介
    (ノンフィクションライター)
    2023年12月8日10時22分 投稿
    【視点】

    大切な記事。私と同様に、「36人もの尊い命を奪った史上最悪の凶行犯に、極刑を免れる余地などあろうはずがない」と思っている人にこそ、その感情を抑えて読んで欲しい。どんな極悪非道な輩でも、この国にいる限り、憲法第37条に保障された「公正な裁判を

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