AI(人工知能)技術を手にした巨大プラットフォーマーが、国家に匹敵する存在になりつつあると言われる今日。大きな力から人々の自由と権利を守るには、国家権力だけでなくデジタル空間の統制も必要だとする「デジタル立憲主義」という考え方が欧州を中心に生まれています。どんな考え方で、従来の立憲主義と何が違うのか。この動きに詳しい憲法学者の山本健人・北九州市立大学准教授に聞きました。
17日発行の朝日新聞GLOBE「AIから尊厳を守る」も、「デジタル立憲主義」をテーマにします。
――デジタル立憲主義。あまり耳慣れない言葉ですが。
「AI技術を含むデジタル技術が急速に進展し、デジタル空間では、これまでのアナログ空間とは異なる権力構造が生まれています。デジタル技術を国家が利用することで国家権力が強化されるだけでなく、私たちの生活に不可欠となったデジタル技術を生みだし、コントロールするテクノロジー企業が強大な力を手にしています」
「巨大デジタルプラットフォーマーは、国家に匹敵する私的権力主体にまで成長したと言われます。デジタル立憲主義は、こうしたデジタル空間に、近代立憲主義の価値を持ち込むことで、デジタル空間を健全なものにしようとする新しい研究の潮流と言っていいでしょう」
――近代立憲主義はもともと、国家権力を制限することで個人の自由を守るという考えでした。その「名宛て人」は国家でしたが、それが変わるということでしょうか。
「そうですね。デジタル立憲…
- 【視点】
これは12月14日の記事ですが、17日の別刷Globeでも同じ記者により「デジタル立憲主義」が取り上げられています。 私自身、2022年5月の学会報告で、今回、紙面では山本先生とペアで登場した(https://www.asahi.com
…続きを読む - 【視点】
「産業革命に匹敵するデジタル革命がいま起きている、という論者もいます」。なるほど。山本健人さんのインタビューを拝読して、ひざを打ちました。 産業革命の時代から、ロンドンでは大気汚染が年ごとに深刻化していきました。1950年代、「汚れた
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