「決定的なもの」とされるエビデンス 背景に白黒つけたい欲求

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聞き手・田中聡子

 「エビデンス」という言葉が、真偽を裏づけるものとして、当たり前に使われるようになりました。でも「エビデンス」って本当に決定的なもの? 社会学者の松村一志さんに聞きました。

 「エビデンス」という言葉が広まった大きなきっかけは、1990年代に生まれた「エビデンス・ベースト・メディスン」でしょう。医師の経験に頼るのではなく、効果や副作用をめぐる科学的証拠に基づいて治療を施す。それが医療や学問を超えて人口に膾炙(かいしゃ)するようになりました。

 学問レベルと一般の人とでは、エビデンスの扱い方が異なります。学問の世界では、膨大な量の論文などをもとに、証拠の強さを評価し、選別することが重視されてきました。それにより、エビデンスから言えることの範囲が狭められていくのです。

雑多なものがひとくくりに

 一般の人々も、ネットなどに…

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