海底から見つかった日露戦争の砲弾 第2次大戦、要塞の苦境を物語る
神崎卓征
大分市の佐賀関港内で11月21日、2発の砲弾が見つかった。このうちの1発は、日露戦争で使うために旧陸軍が約120年前にドイツに発注した大砲のものだった。
砲弾が見つかったのは、佐賀関港西防波堤灯台の北約400メートルの、水深約12メートルの海底。JX金属製錬佐賀関製錬所の潜水士が調査中に発見した。フジツボなどが厚く付着し、砂の上にあったという。いずれも直径約10センチで、長さはそれぞれ33、40センチ。信管はついておらず爆発の危険性はなかった。
海上自衛隊呉地方総監部水中処分隊が持ち帰り調査した結果、2発の砲弾は旧陸軍の砲弾とわかった。このうち長さ33センチの砲弾は、日露戦争が開戦した1904(明治37)年にドイツの兵器製造企業クルップ社に発注した「(明治)三八式十二糎(センチ)榴(りゅう)弾砲」という古い大砲の破甲榴弾だった。
破甲榴弾とはコンクリートの…