男子生徒の方がコロナ禍で抑うつ傾向悪化 「有害な男らしさ」影響か

米田悠一郎
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 コロナ禍の前後で思春期の子どもの抑うつ症状は悪化したが、女子よりも男子の方が悪化の度合いが大きかった――。そんな研究結果を、国立国際医療研究センターや東京大などの研究チームが論文にまとめた。

 研究チームは10歳のときに東京に住んでいた2034人を対象に、16歳になった時点で、直近2週間で抑うつ症状があったかを調べるアンケートを実施した。

 「みじめだったり不幸だった」「何をしても楽しくなかった」など13項目について、当てはまるかどうかを尋ね、点数化した。2019年2月~20年2月に答えた960人と、コロナ禍の20年3月~21年9月に答えた1074人の結果を比べたところ、男女ともにコロナ禍前よりも抑うつ症状の点数が上がった。

 特に男子の悪化が目立ち、コロナ禍前と比べて20年3~5月は平均0・3ポイント、20年6~12月は1・1ポイント、21年1~9月は1・7ポイント悪化していた。

 調査にあたった国立国際医療研究センターの細沢麻里子主任研究員によると、男子は部活や勉強といった学校での活動を共にすることで友達との関係を築く傾向があるという。コロナ禍で部活などの自粛が続き、活動の場が失われたことが、影響を与えたのではないかと指摘する。

 また、男性に強さを求める「有害な男らしさ」の社会規範によって、抑うつ症状があっても相談しづらかった可能性を挙げる。

 細沢さんは「誰かに助けを求めやすい環境や社会規範を見つめ直していく必要がある」と話している。

 論文は電子版の米国児童思春期精神医学会学会誌(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0890856723021275別ウインドウで開きます)に掲載された。(米田悠一郎)

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