NTT法廃止になればどう変わる? 識者は「ネットの空白地帯」懸念

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聞き手・松本真弥
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 自民党の「NTT法の在り方に関するプロジェクトチーム(PT)」は1日、2025年の通常国会をめどにNTT法の廃止を求める提言をまとめました。同法が定める通信サービスや公正競争のルールも形を変えることになるかもしれません。わたしたちの暮らしや競合する企業にはどんな影響がありえるのでしょうか。名古屋大大学院の林秀弥教授(経済法・情報通信政策)に聞きました。

 ――今回の提言をどうみますか。

 「NTT法を巡る議論は、廃止か否かの2項対立になっていた。法技術的に廃止が可能かどうかといった点に議論が矮小(わいしょう)化され、国民生活にとって妥当かという視点が置き去りにされたように感じる。廃止の意義としての国際競争力の強化などが言われたが、NTTに良いことは国民に良いとは限らない」

 ――具体的にはどういう点でしょうか。

 「NTT法は黒電話時代の規定だ。いまはブロードバンド(インターネット)が国民のインフラになっている。規定を見直し、ユニバーサルサービスと呼ばれる全国一律サービスの対象として固定電話に加え、ブロードバンドも含むべきだ。こうした意見は政府も自民党もおおむね一致がみられる。ただ、だれがサービスを担うのかという点で争いがある。過疎地や離島では固定ブロードバンドの未整備地域がたくさんある。地方自治体はかつて自前でブロードバンドを整備したものの、維持費が負担になっており、いまは国が音頭をとり民間への移管を進めている」

 「今後の未整備地域での整備も民間への移管も、自治体はNTTに期待している。ブロードバンド整備の基盤になる固定電話のインフラを全国に持ち、十分な経営体力もあるためだ。実態として責務を果たせるのはNTTしかおらず、NTTが手を挙げないような不採算地域で新しい事業者が手を挙げるとも思えない。NTTを名宛て人としないように改めるとすると、地方の切り捨てや通信サービスの費用の高騰につながる懸念がある」

 ――NTTは誰も手を挙げない場合は「サービスを担う覚悟がある」と説明しています。

 「その前提として十分な額の…

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