人手確保のリアリズム 工科高を卒業する外国ルーツ生徒に企業の視線

有料記事

真鍋弘樹

 「リフト上げまーす」

 生徒の一人が天井からぶら下がるスイッチを押すと、乗用車がじわりと持ち上がる。ホイールカバーを外そうとして、力の入れ加減が分からず、突然パカッと取れた。

 「びびった~」。顔を見合わせて笑う高校1年生の実習グループ5人のうち、1人がネパール、もう1人が中国出身だ。

 物づくりの中小企業が集積する東京都大田区に都立六郷工科高校はある。6年前、外国籍の生徒が作文と面接で受検できる「在京外国人生徒」対象の学校となった。1年生113人のうち、27人が外国にルーツがある生徒たちだという。

夢はトヨタに入社すること

 オートモビル工学科の実習に参加していた1年生のサプコタ・ラジェスさんは、14歳でネパールから来た。「卒業したら車の会社に入りたい」。同郷のクラスメートが口をはさむ。「やっぱり夢はトヨタだよね」

 その夢には、先例がある。昨…

この記事は有料記事です。残り1321文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

多民社会

多民社会

日本はすでに多くの外国ルーツの人たちが暮らす「多民社会」になっています。社会の変化と課題を見つめます。[もっと見る]