都市化だけが解なのか? 「シン・ニホン」の安宅和人さんが描く未来
働き手が減り、縮小していく社会にどう対処すればいいのか。日本の未来についての提言で話題になった「シン・ニホン」などの著書がある慶応大学教授の安宅和人さんに聞いた。
――「8がけ社会」にどう向き合えばよいですか。
人が足りないことを前提に考えていくことです。このままではインフラは余りまくり、スクラップする体力すらなくなってくる。現状を受け入れて、どうやって社会を回していくか答えを見つけていかなければなりません。これまでは変化に応じて規模を大きくできるスケーラビリティーが重要でしたが、今後は縮小できる「逆スケーラブル」であることが大事です。
――どういうことですか?
今問われているのは、人口調整局面でも社会を停止させず動かし続ける方法。これまで人は10倍100倍になっても回す正のスケーラビリティーのみを追求してきたのですが、逆向きの課題解決が必要になっているということです。
連載「8がけ社会」
高齢化がさらに進む2040年。社会を支える働き手はますます必要になるのに、現役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってきます。今までの「当たり前」が通用しなくなる未来を私たちはどう生きるべきでしょうか。専門家の力も借りながら、解決に向けた糸口を考えます。
――デジタル化やロボットは期待できますか?
課題の設定と単なる省人化で…
- 【視点】
現在の出生率をみても将来的に日本の人口減少がさらに継続していくのは確実です。その状況にありながら、未だ発想の転換ができない指導者層による「スケーラビリティ」政策や企業運営が今の日本の壁になっているのではないかと感じています。いまだに「意志決
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