希望する働き方、誰が会社と話し合う? 「過半数代表」の見直し提言

有料記事

三浦惇平 楢崎貴司

 労働者一人一人の希望に応じた働き方を実現させるには、会社と労働者が話し合う仕組みの整備が欠かせません。そのために現在、多くの職場で使われているのが「過半数代表」ですが、問題点が指摘されています。厚生労働省が設置した有識者研究会は、法制度を含めた見直しを提言しました。

有識者研究会で最大の焦点

 厚労省の「新しい時代の働き方に関する研究会」が10月、報告書をまとめた。最大の焦点は、労働条件を決めるときに労使間の話し合いを反映する仕組みだ。

 労働基準法などは最低の労働条件を規制している。ただし、労使が合意することで規制を緩めることができる制度は今もある。

 例えば労働時間は、週40時間、1日8時間までというのが労働基準法の原則。労働者の過半数を組織する労働組合か、従業員の過半数に選ばれた「過半数代表者」と労使協定(36〈サブロク〉協定)を結べば、ある程度まで残業させることができる。

 労組の推定組織率は約17%。過半数労組がない場合は過半数代表を選ぶことになる。労使の代表者でつくる「労使委員会」が使える労働条件もあるが、導入は進んでいない。

 だが、過半数代表の現状には…

この記事は有料記事です。残り1898文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トク】締め切り迫る!記事が読み放題!スタンダードコース2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2023年12月4日7時47分 投稿
    【提案】

    日本では労働者側の雇用者側への交渉力がきわめて弱い現状にある。1960-70年代にはアグレッシブだった労働運動は、その後に弱体化し、いわゆる「御用組合」となっている例も多い。増加する非正規労働者の組織化も、一部で取り組みはあるが捗々しく進ん

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2023年12月4日9時45分 投稿
    【視点】

    賃金をいくらにするとか、何時間働くといった労働条件は、労働者と使用者がともに決定するものです。ですが、多くの労働者は、会社が示す賃金額で、指示された労働時間を働くものだと考えているのではないでしょうか。 労働基準法の第1条には、こう書

    …続きを読む