ミャンマー国軍劣勢 拡大する少数民族の攻勢、「転換点」の見方も
ミャンマーで少数民族武装勢力が各地で国軍への攻撃を始めてから、1カ月が過ぎた。クーデターによる国軍支配に抵抗する民主派の武装勢力も加わって戦線が拡大し、国軍が押し込まれている。専門家からは、「国軍の支配が及ぶ地域が大きく失われる転換点になる」との見方が出ている。
10月27日未明、北東部シャン州の北部でこの一帯を拠点にするミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)とタアン民族解放軍(TNLA)、西部ラカイン州拠点のアラカン軍(AA)の3勢力が「1027作戦」と称し、国軍への攻撃を始めた。「国軍の独裁を終わらせる」などと訴えた。
国軍への攻撃は国境地域を中心に拡大。独立系メディア・イラワジによると武装勢力はシャン州北部、西部のラカイン、東部のカヤー両州で計300カ所以上の国軍拠点を占拠した。国軍は空爆や砲撃で反撃しているが、奪還できていないという。
武器弾薬の質量で少数民族武装勢力を上回る国軍が拠点を急速に奪われている背景には、複数の要因が挙げられる。
複数の武装勢力が緻密に連携してミャンマー国軍を攻めるのは、これまでになかった動きです。背景には何があるのでしょうか。記事後半では、情勢に詳しい中西嘉宏・京都大准教授が解説します。
一昨年のクーデター以降、民主派が武力闘争を始めて戦闘が増え、脱走兵も増加して国軍の兵力は減っているとみられてきた。米シンクタンク「米国平和研究所」は今年5月、30万~40万人とされてきた兵力を15万人と推定。「弱体化した国軍が抵抗運動に勝ち、支配を強められるとは考えにくい」と分析した。
多くの少数民族武装勢力は、山深い国境地帯を拠点とし、もともと地の利がある。加えて、こうした国軍戦力の変化を把握していたとみられる。
今回、複数の少数民族や民主…