なぜイスラエル擁護に固執する? ドイツの「過去の克服」の落とし穴
あすを探る 板橋拓己さん
「イスラエルの安全保障はドイツの国是だ」。10月7日のハマスによる攻撃以来、ショルツ首相をはじめドイツの政治家たちはこの文言を繰り返し、イスラエルを支持してきた。11月17日、トルコのエルドアン大統領との共同記者会見では、「子供たちを殺戮(さつりく)する」イスラエルを非難するエルドアンに対し、ショルツはイスラエルの自衛権を強調し、同国との連帯を再確認した。
6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は、東京大学教授の板橋拓己さん(国際政治史)です。
この頑(かたく)なとも言えるイスラエル擁護は、ナチによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)という負の歴史を抱えているからだとしばしば説明される。それはそうなのだが、実のところ、ドイツの公的言説でこれほどまでにイスラエル批判が難しくなったのは、そう古いことではない。
ここで注目すべきは、198…