屋久島沖で米軍オスプレイ墜落 6人搭乗、1人の死亡確認

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角詠之 冨田悦央 成沢解語
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 29日午後2時45分ごろ、「オスプレイ屋久島沖で墜落した」と118番通報があった。海上保安庁のヘリが鹿児島県屋久島町沖を捜索したところ、米空軍横田基地東京都)所属の輸送機CV22オスプレイの残骸とみられるものを発見。乗組員とみられる男性1人を救助したが、死亡が確認された。防衛省によると、オスプレイによる国内での死亡事故は初めて。

 海保によると、事故機には6人が搭乗していた。屋久島の東約1キロの海上で残骸とみられるものや、無人の救命いかだが見つかった。現場の水深は30メートルほどで、海保や自衛隊などが不明の5人の捜索を続けている。

 海保関係者によると、事故機は米軍岩国基地山口県)から米軍嘉手納基地沖縄県)に向かっていた。屋久島空港管理事務所には29日午後2時35分ごろ、「緊急着陸したい」と連絡があり、屋久島空港に着陸しようとした可能性がある。目撃した複数の住民は取材に「機体から火が出ていた」と話した。宮沢博行防衛副大臣は記者団に、墜落の状況を「不時着水した」と説明した。

 民間人救出や対テロの特殊作戦に携わる部隊を運ぶCV22オスプレイは、横田基地に6機配備されている。このほか、米海兵隊のMV22オスプレイが普天間飛行場(沖縄県)に24機配備され、陸上自衛隊のV22オスプレイが木更津駐屯地千葉県)に14機暫定配備されている。

 オスプレイをめぐっては事故が相次いでおり、22年6月には米国で海兵隊の機体が墜落し、乗組員5人が死亡。今年7月に公表された報告書は、エンジンとプロペラをつないで動力を伝えるクラッチに深刻な不具合が見つかったと指摘した。これを受け、陸自は飛行を一時的に見合わせ、対策の必要性を確認するなど対応に追われた。

 防衛省によると、米軍のCV22オスプレイをめぐっては、乗組員が死亡したり、被害総額が250万ドル以上に上ったりした「クラスA」の事故が21年9月末現在、世界各地で7件起きている。

 鹿児島地方気象台によると、屋久島東部の観測所では午後2時半ごろの平均風速が1・9メートル、最大瞬間風速が4・6メートル。気象庁の基準では平均風速10メートル以上で「やや強い」と分類しており、事故当時の風は強くなかったとみられる。

 岸田文雄首相は29日夜、首相官邸で記者団から米国側に飛行停止を求めるかと問われ、「事故の実態を確認し、何が必要か、何が求められるかを検討した上で考えるべき課題だ」と述べていたが、政府関係者によると、飛行停止を求めることも含めて対応を検討するよう関係省庁に指示した。

【動画】オスプレイが墜落したとみられる海域=飯野祐平撮影

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この記事を書いた人
角詠之
テレビ朝日(朝日新聞社から出向中)
専門・関心分野
運輸業界、事件事故、高校野球