偽情報への対抗策「『わからない』でいい」 ベリングキャット研究員
イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突をめぐって、誤情報や偽情報がソーシャルメディア上にあふれています。私たちは、どのようにして情報に接すればいいのか。国際調査報道集団「ベリングキャット」でシニアリサーチャー(上級研究員)を務めるコリーナ・コルタイさんに聞きました。
――パレスチナ自治区ガザ地区をめぐる軍事衝突では、あまりにも誤情報、偽情報が多いですね。
私個人としてはもう10年以上、ソーシャルメディア上の情報を研究、分析していますが、最悪の事例の一つだと感じています。
速報が求められるような事件、事故や紛争が起きたとき、私たちは「何が起きたのか知りたい」と感じます。誤情報や偽情報は、そうした「情報量の空白」を埋めるようなものになりがちです。
興味深いのは、すでに2カ月近く紛争が続いているにもかかわらず、誤情報や偽情報が減退する兆しが見られないことです。あまりにも多くのコンテンツがあふれるなかで、何が本当で何がウソなのか、見極めが本当に難しくなっています。
――単なる誤情報、偽情報というより、特定の主義や思想に基づくプロパガンダも多い気がします。
確かにかなりの量のプロパガンダが見られます。(親パレスチナか、親イスラエルかという)二極化が事態を悪化させており、「どちらか一方を信じるべきだ」「どちらか一方を選べ」と迫るようなものも多く見られます。
もう一つの特徴としては、複数の政府系アカウントから多くのプロパガンダが発信されていることです。特定の政府の人間による発信をそのまま信じてしまってはいけません。ただ、そのためには高いレベルの批判力、分析力が必要になります。
有名人が拡散元になるケースも
――どのような例が見られますか?
たとえば、イスラエルの政府…
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