「奥出雲おろち号」最後の運行
木元健二
JR木次線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」が23日、最後の運行を終えた。紅葉の照り映える情景などを人々の目に映した名物列車。山あいの線路をひた走り、観光を盛り上げた労苦をねぎらおうと、終着駅の木次駅(島根県雲南市)には沿線住民や鉄道ファンらが詰めかけた。
おろち号が木次駅に到着したのはこの日午後4時過ぎ。ホームは別れを惜しむ人々で鈴なりになり、駅の外とあわせて約700人が出迎えた。
松江市の会社員青木豊さん(44)はおろち号のファンで、今年だけで14回乗車したという。この日は自ら撮影した写真を使ったボードを手に訪れ、「おろち号が走らなくなる木次線の今後が心配だ」と話した。
車掌を務めたJR西日本の藤原卓司さん(37)は「無事運行を終えてほっとしているが、木次駅に近づくにつれて声が詰まってしまった」と明かした。駅周辺の鉄道施設であった、おろち号の記念撮影会も盛況だった。
おろち号は窓を取り払ったトロッコ車と、雨天時などに客が乗る車両を機関車が牽引(けんいん)する。1998年に運行を始め、例年4~11月、主に木次―備後落合(広島県庄原市)を走ってきた。しかし車両が製造されて40年以上になり、老朽化により引退が決まった。現在は山陰線の鳥取―出雲市間を土日を中心に運行する観光列車「あめつち」が来年度から木次線に乗り入れるが、区間は出雲横田(島根県奥出雲町)までにとどまる。
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