役満をアガって顔曇らせた二階堂亜樹 「ある思い」にこみ上げた感情

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前田健汰

女性の麻雀プロの最前線を走り続けてきた二階堂亜樹は「女流の道を切り開くつもりは全くなかった」と話す。続いたのは、表情が曇った理由ともリンクする言葉だった――。

 役満をアガった瞬間、風林火山・二階堂亜樹(42)は顔をしかめ、唇をかんだ。

 昨季、2月14日第2試合。3着目の亜樹は少し悩んでから牌(はい)に手を掛けた。

 「リーチ」

 四暗刻(スーアンコー)単騎、9マン待ち。アガれば自身のMリーグ初となる役満だったが、残りの牌山には残っていなかった。

 このときトップ目のフェニックス・魚谷侑未(38)の手には9マンが3枚あった。しかも、単騎待ちにしかあたらない安全そうな状況だった。

 吸い寄せられるように9マンを打ち出す。「ロン、3万2千、3万2600」。亜樹は伏し目がちに申告した。魚谷は放銃に気づいて目を見開き、「はい……」。ため息交じりの声を絞り出し、点棒を渡した。その表情を見た亜樹も顔を曇らせ、唇をかんだ。

 頭にある思いが浮かんだ。もし自分がその立場だったら――。「勝負の最中に考えてはいけないと分かっているけれど、負けた時の自分を重ねてぐっと来てしまった」

 まだ女性プロの少ない時代か…

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この記事を書いた人
前田健汰
文化部|麻雀担当
専門・関心分野
麻雀、演芸、演劇