「政治案件」の半導体支援、民間から冷たい視線 責任負うのはだれ?

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冨名腰隆 奈良部健

 経済安全保障を前面に、国は半導体の国内生産の強化のため、前例のない巨費を投じている。政府が臨時国会に提出した13・1兆円の2023年度補正予算案のうち、1割以上を占める。主導するのは経済産業省。「国丸抱え」で民間事業を支える構図には、危うさがつきまとう。

 岸田政権が前例のない支援に乗り出した背景には、経済安保の台頭がある。それまで国際分業による自由貿易が主流だったが、価値観の違う国を排除する新たな潮流が生まれた。

 米中対立が激化し、それまで中国で認めてきた半導体製造を封じる中で、日本の役割に対する期待が相対的に高まった。そこに20年に起きた新型コロナによるパンデミックが、世界をつなぐ製造業サプライチェーン(供給網)の断絶と、それに伴う半導体不足の混乱を引き起こした。

財務省幹部「半導体予算はすべて政治案件」

 こうした外的な理由に加えて、国内の政治要因も関係している。

 12年に発足した第2次安倍…

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この記事を書いた人
冨名腰隆
政治部次長|政権担当

日中外交・安全保障、日本政治、中国政治