働く外国人に選ばれる北海道になるには 技能実習制度見直しで考える

編集委員・堀篭俊材

 政府が進める外国人技能実習制度の見直しについて、地域の視点で考える市民団体主催のシンポジウムが22日夜、札幌市内であった。今は転籍が認められていない実習生も新制度では就労後1~2年で実習先の企業を変われることになる見通し。就労や生活の場として「選ばれる北海道」になるため、道内各地での行政や住民の連携を求める声が相次いだ。

 市民団体「外国人人権ネット北海道」の主催で外国人支援団体、労組、監理団体の関係者らオンライン出席も含め約50人が参加した。進行役を務めた宮入隆・北海学園大教授が「転籍ができるようになれば人材の流動化が進む。選ばれる地域に北海道になれるのか考えたい」と提起した。

 出席者からは「実習生は労働者でもあり、生活者でもある」として「生活するうえで抱える『小さな困りごと』をどうサポートするのかが大切」「社会全体で受け入れる時期にきている」と地域での支援体制の拡充を求める声が続いた。

 北海道労働局によると、昨年10月末で道内の技能実習生は1万2530人。深刻な人手不足に直面する農業や水産加工業などでは「実習生頼み」の状態が続く。シンポでは、外国人技能実習機構札幌事務所の北河実則所長がコロナ禍が落ち着いた今春以降、再び道内で実習生たちが急増している、と報告。ベトナム人を中心に道央と道東に多く集まり、道央ではミャンマー人も増えているという。

 実習生に実習先の変更を原則認めないことが賃金未払いやハラスメントなど人権侵害の温床になっているとの指摘があり、実習制度の見直しを進める政府の有識者会議は一定の条件で転籍を認める方向だ。実現すれば、賃金や環境面で北海道は関東地方などに比べ不利になるともいわれる。

 同ネット北海道の西千津さんは会合後、「実習生を支援するため地域で連携する必要性を強く感じた。シンポを機に新たな連携をすすめたい」と話した。(編集委員・堀篭俊材)…

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