ペア学習・ふりがな・IT活用…外国につながる生徒の授業、工夫様々
日本語指導が必要な外国につながる児童生徒らの割合が、三重県は2021年時点で全国の都道府県で2番目に多い。津市立東橋内中学校は今年10月現在で全校生徒125人のうち、外国につながる生徒は6割の75人、うち日本語指導が必要な生徒は4割強の52人にのぼる。どんな授業をしているのだろうか。
漢字すべてにふりがな、3回のペア組み
親が外国人といった外国につながる児童生徒らへの日本語指導。これに携わる教諭らを指導する人たちの養成研修(教職員支援機構、三重県教育委員会主催)が県内で10月にあり、全国42都道府県の学校関係者ら114人が参加した。うち25人が津市中心部にある東橋内中学の1年A組で数学の方程式の授業を見学した。クラスの生徒23人のうち12人がフィリピンやボリビア、ブラジルなど外国につながる。
「2000円でケーキ4個と150円のジュースを1本買うと、おつりが450円でした。ケーキ1個の値段はいくらですか」
黒板に映写機で映し出された問題には、漢字すべてにふりがなが付けられていた。線分図や式の一部が書かれている。
池上昌和教諭は生徒に問題を考えさせた後、「では立って」と隣の生徒とペアを組ませ、解き方をお互いに説明させた。今度は前後の席、最後に斜めの席の相手とペアを組ませ、あらためて説明させた。たどたどしい説明にも、うなずき聴き入る生徒の姿勢が目立った。
黒板に貼られた学習の「めあて」は「相手意識をもった解答をつくるには?」。他人のそれぞれ違う説明を参考に、相手が納得いくよう伝えることが求められる。日本人も外国人も関係なく「めあて」は同じだ。
2組のペアがみんなの前で、解が正しい理由も含めて説明した。池上教諭は説明の仕方をほめたり、付け加えたりして、「それを何と呼んだ?」とみんなに尋ね、「代入」「移項」などの用語を確認した。
授業後、見学した教諭らは「数学だけど言葉を大切にしていた」「生徒はお互いに教え合うという雰囲気ができていた」「みんなの前での発表は自信につながりそうだ」などと感想を述べた。一方で「用語は板書した方が良かった」「『書く』練習がもっとほしい」という意見もあった。
池上教諭は「3回ペアを組むのは長いかなと最初は思ったが、短くすると理解が定着しなかった」「生徒の学力差が大きい。成績上位の生徒は満足していないと思う」と、混合学級での授業のむずかしさを語る。
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