宝塚歌劇団に労基署が立ち入り調査 労働時間や勤務実態など聞き取り
宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が9月に亡くなった問題で、西宮労働基準監督署が今月22日に歌劇団へ立ち入り調査をしたことがわかった。歌劇団が取材に明らかにした。
女性は9月30日朝、宝塚市の自宅マンション敷地内で倒れて亡くなっているところを発見された。兵庫県警は自殺の可能性が高いとみている。
歌劇団によると、22日には労基署職員らによる聞き取りがあり、歌劇団の担当者から事業の概要や組織体制、劇団員の労働時間や勤務実態などについて説明をしたという。歌劇団の広報担当者は取材に「労基署の指示に基づいて、真摯(しんし)に対応していく」と話した。
歌劇団が外部の弁護士に調査を依頼して、14日に公表した報告書によると、女性は入団7年目で宙(そら)組に所属し、若手による「新人公演」のまとめ役だった。自主稽古などの活動時間を労働時間とすれば、公演までの1カ月で118時間以上の「時間外労働」があったと指摘。そこに上級生からの指導が重なり、「精神障害を引き起こしても不思議でない程度の心理的負荷があった可能性は否定できない」と認定した。また、上級生による「いじめ」は否定し、パワーハラスメントは確認できなかったとした。
一方、遺族側の代理人弁護士は、女性の1カ月間の総労働時間が437時間、そのうち時間外労働が277時間だったと主張している。報告書がハラスメントを認定しなかった点についても、「事実認定と評価は失当(不当)」と批判。歌劇団に再検証を求めている。
関係者によると、歌劇団は劇団員ら約400人に対し、過密なスケジュールや厳しい上下関係、不合理なルールなどの実態を把握するための聞き取りを進めている。
- 【視点】
本件が芸能従事者の労働者性が争われた従来の事件と違うのは、1~5年目の劇団員が労働契約であることに、双方に争いがない点です。労働契約であれば、労働基準法などの労働関連法令の対象になります。今回、どのような理由で労基署が調査に入ったのか詳細は
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