ガザ情勢めぐりBRICS首脳が特別会議 米欧と違う影響力アピール

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

ニューデリー=石原孝 サンパウロ=軽部理人 北京=林望
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 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成される新興5カ国(BRICS)は21日、イスラエルパレスチナ情勢をめぐる臨時の首脳会議をオンラインで開いた。米欧が情勢の悪化を防ぐための建設的な役割を果たせないなか、グローバルサウスを代表する勢力としての存在感をアピールした。

 臨時会議は今年の議長国の南アが呼びかけた。BRICS首脳が特定の国際問題でこうした会合を開くのは異例。出席者は「非常に時宜を得たものだ」(プーチン・ロシア大統領)などと南アに賛辞を送った。

 BRICSは来年1月から拡大される予定で、AP通信によると、今回の会合には新たな加盟国であるエジプトサウジアラビア、イランなど6カ国の高官らも参加。8月の首脳会議で拡大を主導した中国の習近平(シーチンピン)国家主席は「我々がこの問題で立場をすりあわせ、行動を起こすことは、拡大後のBRICSによる協力関係のすばらしいスタートになる」と称賛した。

温度差も

 会議では現メンバー国の首脳間で、市民の犠牲が増え続けている点、また、国際社会の努力を強調する点で一致した。だが、イスラエルとパレスチナに対する立場には違いも目立った。

 南アのラマポーザ大統領は会議の冒頭、ガザ地区で1万人を超える住民が犠牲になっていることに言及。「イスラエルの行為は明確な国際法違反だ」「パレスチナ市民への集団懲罰は戦争犯罪だ」「ジェノサイドに等しい」と語った。

 ラマポーザ氏は一方、イスラム組織ハマスが人質を取っていることについても「国際法に反している」と指摘。早期の停戦や人質の解放、市民の保護を目的にした国連部隊の派遣などを求めた。

 習氏も即時の停戦のほか、市民への暴力や移動の強制、水や電気の断絶をやめるよう求めた。また、「(対立の)根本的な原因はパレスチナ人民の建国する権利、生存する権利、故郷に帰る権利が長期にわたり無視されてきたことだ」と指摘。パレスチナ国家とユダヤ国家が共存する2国家解決に向け、「権威のある国際的な和平会議」の開催などを訴えた。ただ、イスラエルを名指しで批判することは避けた。

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