猪苗代湖をラムサール条約登録湿地に 野鳥の会が登録運動始める

斎藤徹

 ハクチョウの飛来地として知られる猪苗代湖をラムサール条約に登録しようとする運動が、福島県内で動き出した。自然保護団体「日本野鳥の会」の郡山・会津両支部が、猪苗代湖周辺の郡山、会津若松、猪苗代の3市町に対し、同条約の登録申請を県や国に働きかけるよう求めている。

 ラムサール条約は、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全・再生するのが主な目的だが、生態系を維持しつつ漁業など人の営みとのバランスの取れた利用も提唱している。

 同会によると、猪苗代湖は同条約の登録に必要な3条件のうち、①コハクチョウが基準のひと冬920羽を超えて飛来する年が3年以上続いている②磐梯朝日国立公園地域にあり環境保全が図られている、の二つを満たしているという。もう一つの条件は「地元住民や自治体から登録への賛意が得られている」で、猪苗代湖周辺3市町が県や国に働きかければ、早ければ2025年に登録が実現可能という。

 同会の両支部は11月上旬までに、3市町に要望書を提出した。登録されることで、地域が湖の環境保全に取り組んでいることが国際的に認められ、ブランド価値をさらに高めることにつながり、エコツーリズムなどの観光需要の喚起にもつながるとしている。

 郡山市役所で会見した郡山支部の湯浅大郎支部長は「猪苗代湖が湿地の一つという概念がなく、これまで登録運動は起きていなかったが、猪苗代湖の自然は将来にわたり残していくべきものであり、登録機運を盛り上げていきたい」と話した。

 3市町の首長も登録申請には前向きという。郡山市の品川万里市長は「自然豊かな猪苗代湖の環境を未来へ引き継いでいくためにも、その保全は重要と認識している。会津若松市や猪苗代町と協議しながら(県や国への申請を)検討していきたい」とコメントしている。

 環境省によると、ラムサール条約には国内53カ所が登録されており、県内では尾瀬(檜枝岐村)が2005年に登録された。(斎藤徹)…

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