肥薩線の復旧費 県が地方負担分を全額負担へ
大貫聡子
2020年7月豪雨で被災し、一部で運休が続くJR肥薩線(総延長124キロ)について、熊本県の蒲島郁夫知事は17日、復旧費で実質的な地方負担となる約12億7千万円を沿線市町村に負担させることなく県が全額負担する方向で検討していることを明らかにした。
JR九州の試算では、復旧にかかる費用は約235億円。うち実質的な地方負担分は約12億7千万円で、県と沿線12市町村がそれぞれ2分の1ずつ負担する想定だった。蒲島知事は、17日の定例会見で、理由について「県ができることを最大限やって地方の負担を県の方で負担しようという考え」と説明した。
県の担当者も「市町村の負担軽減だけでなく、鉄道は広域を担うインフラなので、県が果たすべき役割を考えた」と背景を明かす。
ただ、たとえ復旧しても課題となるのが維持費だ。 国と県、JR九州でつくる復旧に向けた検討会で、JR九州は、被災前から続く赤字などを理由に鉄道での復旧に慎重な姿勢を示している。
県は、維持費についても沿線市町村から負担軽減を求められているといい、引き続き協議をしていくという。(大貫聡子)