「そんな格好」と非難する人へ 決めつけないで、「私のため」だから

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聞き手・大滝哲彰

 パートナーからのDV、職場でのハラスメント、ストーカー行為……。女性の体や心を傷つける暴力が社会に多くあります。8月には、韓国のアーティスト「DJ SODA(ソダ)」さんが大阪での音楽フェスティバルで性被害を受けたとSNSで訴え、服装に責任を求める中傷が広がりました。性暴力を防ぎ、被害者を守るために私たちができることは何か。内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」(12~25日)に合わせ、識者の話から考えます。

一般社団法人「ふぇみ・ゼミ&カフェ」運営委員 梁・永山聡子さん

 SODAさんが性被害を訴えた際、少なくとも名の知れたメディアがセクシズム(性差別)的な表現をすることは、私が見る限りはなかったように思います。

 ただ、まだまだ足りない視点があると考えます。典型的なのが「服装を変えるべき」「あなたがそんな格好をしているからだ」といった非難です。性暴力を受けた原因を本人に求めていることになります。

 こうした非難には、どんな格好をしていても、仮にその人が挑発的な行為をとったとしても、身体に触るなどの性被害を加えてはいけない、という視点が足りません。

 女性への差別や不平等の解消という意味でのフェミニズムでは、日本がたどってきた歴史と、欧米や韓国のものでは、そのあたりに違いがあると考えています。

 私は韓国フェミニズムやグローバルフェミニズムの運動を研究してきました。例えば、アメリカの黒人女性らが人種差別と女性差別の二重差別を提唱した「ブラック・フェミニズム」。1960年代ごろから黒人の社会運動の中で「black is beautiful」という言葉が掲げられました。その後、髪の毛やボディーの特徴など、自分たちの身体性をポジティブなものとして捉えだしました。

身体の美しさを見せる

 アメリカにある国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館には、こうした運動の歴史を紹介する展示があります。国立博物館に展示があるほど、社会で意識が共有されているということの表れです。

 韓国のフェミニズム運動にも…

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