処分場の場所選び20年迷走 なるか「4度目の正直」 県南4市町

石橋英昭
[PR]

 名取、岩沼、亘理、山元の宮城県南4市町のゴミ最終処分場をどこにするか、20年以上も決まらない状況が続いている。名取市内につくることになっているが、過去3度、候補地が浮上しては頓挫。4市町のゴミ焼却灰は現在、県外の民間処分場に運び出す事態になっている。名取市は、こんどは専門家に候補地選びを委ねようと17日、学識者5人からなる委員会を立ち上げた。

 候補地選定委のメンバーは水環境や地盤工学、廃棄物の研究者ら。17日の第1回会合では、山田司郎市長が「この問題は総論賛成、各論反対になりがちだ。できる限り透明性の高い方向で進めたい」とあいさつ。候補地を選ぶ基準などを話し合った。

 最終処分場の埋め立て容量は10万立方メートルで、15年間の利用を想定。建設費は50億円程度を目安にしているという。市は、2024年度末か25年度中には結論を出したい考えだ。

 4市町は02年、それまでバラバラに取り組んでいたゴミ処理を広域行政の枠組みで始めた。当初の方針で、将来の焼却施設は岩沼に、最終処分場は名取につくることになった。

 ところが、名取市での最終処分場の場所探しは難航。08年にいったん高舘熊野堂地区に決めたものの、住民の同意が得られず断念した。その後は、自治体間の利害も絡まって、膠着(こうちゃく)状態が続いていた。

 16年、山田市長が問題の早期解決を公約に掲げて初当選すると、事態は動き出す。18年に、西部丘陵地帯の旧・名取スポーツパーク内が候補地として浮上し、パークを取得した学校法人と協議を進めたが、法人の施設計画が進まない状況から、撤回となった。

 20年には、候補地を「公募」する手を打った。地権者から2件の応募があり、沿岸部の小塚原地区を選定。建設費の見積もりを外部に依頼したところ、90億~180億円と想定を大きく上回り、22年、三たび白紙に戻った。

 4市町では22年度実績で約4万8千トンのゴミを焼却し、5700トンの焼却灰が出る。これまで使ってきた岩沼市の最終処分場はほぼ満杯で、17年からは県外の民間処分場に運び出しており、その費用は累計で10億円を超えている。

 今回の候補地選びが「4度目の正直」となるかどうか。委員長を務める公益社団法人「全国都市清掃会議」(東京)の浜田雅巳・技術指導部長は「環境負荷や経済性などの評価項目を整理して最適な場所を選び、一生懸命理解を求めるということだ」と話した。石橋英昭

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません