ミャンマー少数民族の攻勢各地に拡大 国軍側「国家分裂」に危機感

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バンコク=笠原真 瀋陽=金順姫
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 ミャンマー北東部で10月末に始まった少数民族武装勢力による国軍への攻撃が、拡大を続けている。2021年のクーデターに反発して国軍に対する武装抵抗を始めた民主派勢力も連携し、東部や西部でも攻勢を強めている。治安に関する最高機関で「国家分裂」への懸念が表明されるなど、異例の展開になっている。

 「国軍の攻撃が激しくなりそうで怖い。町の全員が危険と隣り合わせだ」

 北東部シャン州北部の都市ラシオに住むNGO職員の女性(32)は13日、電話取材にこう話した。国軍は前日、ラシオを含むシャン州北部の8郡区に戒厳令を発令。地域を管轄する軍司令官に行政権や司法権が移譲され、通常の手続きをへない市民の拘束などが広がる恐れがあるからだ。

 現時点で、全国で330ある郡区のうち、最大都市ヤンゴンの一部を含めて50以上が戒厳令下にある。

 少数民族武装勢力による攻撃は、10月27日に「1027作戦」と称して始まった。「兄弟同盟」を組む、シャン州拠点のミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)とタアン民族解放軍(TNLA)、西部ラカイン州を拠点にするアラカン軍(AA)の3勢力が、シャン州の国軍拠点などを同時多発的に攻撃。3勢力は「国軍による独裁の終結」などを目的に掲げた。自治権や利権確保の狙いも背後にあるとみられる。

 国営紙によると、国軍側は11月8日に緊急の国防治安評議会を開催。この場でミンスエ大統領代行が「適切に対応しなければ国家が分裂してしまう」と強い調子で危機感を表明した。

国際シンクタンク「国軍が全ての戦線に対応するのは困難」

 独立系メディア・イラワジによると、3勢力は11月15日までにシャン州北部の要衝クンロンなど複数の都市を押さえ、国軍の拠点約150カ所も占拠。国軍支配下の主要都市ラウカイも包囲しており、国軍兵士の投降も相次いでいるという。民主派勢力も少数民族武装勢力と連携し、シャン州に隣接する東部カヤー州では、カレンニー国民防衛隊(KNDF)がシャン、カヤー両州の国軍拠点7カ所を奪ったと伝えた。

 13日には、アラカン軍が本…

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