勤務先は首都圏、働くのは県内で 三沢市の企業がシェアオフィス建設

古賀大己

 首都圏の企業に勤めながら、青森県内で働きたい人向けのシェアオフィスが来年4月、三沢市にオープンする。企業にとって、社員が「2拠点生活」で生活の質を高められる一方、地元にとっても、新しい人材が流入することで経済の活性化が期待できる。

 シェアオフィス「BLUE」は、地域課題の解決に取り組む地元企業「材」が4億円を投資して、中心市街地から車で約5分の場所に建設している。2階建てで、10社程度、約100人が働ける広さ。少人数のスタートアップ企業や地元企業の拠点、首都圏企業のサテライトオフィスとしての利用を想定している。

 オフィス内は、間仕切りがなく開放的なデザインが特徴。働き手同士で垣根を越えたコミュニティーを作ってもらおうと、1階中央にはカフェを設ける。三沢空港に近く、羽田空港からの移動時間は約1時間と、働く場所の制限が少ないエンジニアやデザイナーの関心が高く、すでに数社が入居を決めたという。

 内閣府が2020年に公表した調査では、首都圏に住む20~59歳の働き手の49・8%が、地方移住に関心を持っているという結果が出た。しかし、「仕事がない」「コミュニティーが狭い」などといった理由で、実際に移住するに至っていなかったという。

 こうした状況を受け、材は首都圏の企業を辞めることなく、移住できる仕組みを作ろうとオフィス事業を展開してきた。首都圏の企業には、県内でITのスキルを持つ人を採用する拠点として利用することを促していきたいという。

 材の淨法寺(じょうぼうじ)朝生社長(43)は「首都圏の所得で田舎で働ける、人間らしい新しい働き方を提案したい。地元にもいい影響がある」と話した。(古賀大己)…

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