コロナ禍やクーデターが落とす影 ミャンマー代表監督日本戦への思い
2026年のサッカーワールドカップ(W杯)アジア2次予選で、16日に日本代表と対戦するミャンマー代表。コロナ禍、そして一昨年のクーデターは同国サッカー界にも影響を与えている。今年3月にミャンマー代表チームの監督に就任したドイツ出身のミハエル・ファイヒテンバイナー氏(63)が朝日新聞の取材に応じ、ミャンマーサッカーの現状や日本戦の展望について語った。
――ミャンマーサッカーの第一印象はどうでしたか。
子どもも大人もサッカーが好きで、すぐにミャンマーで最も人気のあるスポーツだとわかりました。技術が高く、意欲的な選手ばかり。私のチームの選手たちは国を代表することに誇りを持っています。
一方、インテンシティー(プレー強度)の高い試合経験が不足している。国内リーグのレベルはタイなどと比べて低いのが現状です。育成組織を持つのは数クラブに限られ、若手が育つ環境も不足しています。
――サッカー人気が高いのに、なぜ環境整備が不十分なのでしょうか。
練習環境の整備、審判の育成、遠征費など、サッカーには「投資」が必要です。しかし今のミャンマーでは難しい。好待遇で有能な外国人選手を国内リーグに呼ぶことも重要なのですが……。経済の成長と、サッカーの成長は大きく関係するのです。
――ミャンマーでは一昨年、国軍のクーデターが起き、代表チームを「国軍の代表」と捉えて応援しない国民もいました。
政治について語りたくありません。しかし、10月にヤンゴンで開催されたW杯1次予選マカオ戦では7千人が来場し、私は感動しました。人々が少しずつ「我々の代表」と思ってくれればうれしいです。
――コロナ禍以降国内リーグは2年近く中断し、今も地方で武力衝突が続くため、リーグ戦は最大都市ヤンゴンだけで開催されています。
日本戦へ「サッカーでは何でも起こり得る」
リーグの開催自体はありがたいです。ただ地元の応援を受けられなければ、選手のモチベーションにも響く。サッカーは「感情」のスポーツなのです。熱い雰囲気が欠如するのはミャンマーサッカーへのダメージです。
――日本代表の印象は…