ガザ地区、パン屋は10時間待ち 避難所では感染症、心のケアも急務

有料記事イスラエル・パレスチナ 対立の深層

聞き手・河崎優子
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 イスラエルと、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの軍事衝突により、多くのパレスチナ人がガザ地区南部への避難を余儀なくされています。ガザ地区への支援の調整を続ける国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長=ヨルダン在住=にオンライン取材し、避難民であふれるガザの状況を聞きました。

 ――UNRWAはどのような支援を行っているのですか。

 1950年から、パレスチナ自治区ガザ地区やヨルダン川西岸地区などでパレスチナ難民のために、学校やクリニックの運営、食料支援などを行ってきました。日本もUNRWAへの支援を続けており、今年で70年目になります。

 ――ガザ地区の近況はどうですか。

 11日時点で、UNRWAが運営する学校など154の施設で、約77万人の避難民が過ごしています。2千人ほどを収容できる学校に6千人以上が詰めかけ、足の踏み場もない状態です。女性や子どもは教室、男性は屋根のない校庭に寝泊まりしているそうです。

 スタッフが巡回すると、避難民は「おなかがすいた」「水をください」と声をかけてくるそうです。避難所では、食料不足で免疫力が弱っているため、シラミや下痢、呼吸器感染症などの報告が増えています。

パン屋は10時間待ち

 ――大変な状況です。

 今回の衝突以前から、ガザ地区は大変な状況でした。ガザ地区では人や物資の移動が厳しく制限され、失業率は5割ほど。イスラエル軍による軍事攻撃が繰り返され、インフラが全く整っていません。上下水道も整っておらず、場所によっては水道から海水を含んだしょっぱい水が出てきます。

 もともとこのような状況の中…

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