マスク氏が称賛した元整備士、内部告発者に 独紙に事故報告リーク

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ジャック・ユーイング/The New York Times 翻訳=城俊雄/朝日新聞

Man vs. Musk: A Whistleblower Creates Headaches for Tesla【前編】

 ルカシュ・クルプスキ氏がノルウェーにあるテスラの納車センターで、手に大やけどを負いながらも火事を消し止め、大惨事を防いだ翌日、同社のイーロン・マスク最高経営責任者からメールが届いた。

 「危機を救ってくれたことに祝意!」と記されていた。2019年3月のことだ。

 しかし、英雄的な従業員と感謝を示す経営者の物語は、テスラと整備士のクルプスキ氏の壮絶な闘いにエスカレートし、ノルウェーと米国で訴訟に発展した。数カ国の規制当局も注目している。

 当初は、救世主と称賛されたクルプスキ氏だが、オスロ近郊にある職場に重大な安全上の問題があるとの苦情を伝えたところ、ハラスメントや脅迫を受け、最終的には解雇されたと、同氏はニューヨーク・タイムズ(NYT)に語った。ポーランド出身のクルプスキ氏は、テスラで納車の準備を担うチームの一員だったが、同社に不満を募らせた昨年、会社のコンピューターシステムから取り出した大量のデータをドイツの経済紙ハンデルスブラットに渡した。

 テスラで整備士をしていた38歳の男性が持ち出したデータには、数千に上る事故報告書が含まれていました。それは、テスラの運転支援ソフトウェアの欠陥疑惑などをめぐる大きな論争へと発展していきます。

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 データにはマスク氏を含むテ…

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