高橋大輔さんらが恩返しのスケート教室「地方のリンク増えてほしい」
山形県内でただ一つの屋内アイススケート場に、フィギュアスケーターの高橋大輔先生がやってきた――。東北6県で唯一フィギュアスケートなどの公式大会が開けるリンクがない山形。日本スケート連盟が11日に催した「基礎スケート教室」は、県内で新たなリンク開設の機運を高めるのも狙いの一つだ。
「はい、足を曲げて、伸ばして」
酒田市体育館内にある「スワンスケートリンク」。特別講師の高橋さんが、子どもらにお手本を見せながら指導すると、歓声が響いた。初めてなのにスイスイと華麗に滑る子もいれば、転びながらも「うわぁ、楽しい!」と笑顔を見せる子もいた。
講師として招かれたのは、2010年バンクーバー五輪で日本男子初の銅メダルに輝いた高橋さんと、昨季まで高橋さんとアイスダンスのチーム「かなだい」を組んでいた村元哉中さん、プロの本郷理華さん、宮原知子さん、無良崇人さんの5人。スケート教室には、小学1年から大人の初心者まで約60人が参加した。競技を退いた選手にとって、こうした普及活動は今まで支えてくれたスケート界への「恩返し」だ。
記事後半では、高橋大輔さんと村元哉中さんの「恩返し」への思いあふれる一問一答もご紹介します。来年2月予定のアイスショー「滑走屋」についても語ってくれました。
高橋さんは「楽しい時間を過ごせた。地方にリンクがたくさんできることで、競技人口も増えていきますし、競技人口が増えればその中から競い合って良い選手も出てくる」と話した。
スワンリンクは県内でただひとつの屋内スケート場。だが、市は老朽化などのため今年度いっぱいで廃止する方針だ。県内では17年に民間の屋内スケート場が閉鎖されて以降、フィギュアなどの公式大会が開ける国際規格(60メートル×30メートル)のリンクが東北で唯一ない状況が続いているという。
このスワンリンクのほか、山形と鶴岡の両市にスケート場があるが、いずれも屋外リンクで公式大会の基準を満たしていない。
山形にも通年型の屋内リンクを作ってほしい――。県スケート連盟などの競技団体の声を受け、県は昨年、「あり方検討会議」(会長・山田浩久山形大学教授)を始めた。5回にわたって議論を重ね、今年3月末の報告書で選択肢を示した。①スケート場として通年使いつつ、断熱材で氷上を覆って、状況に応じて別のイベントでも使えるようにする②冬季のみ氷を張り、他の季節は別のイベントに使う――という2パターンだ。
この二つの方向性を軸に、県は現在、事業費や経済効果などの基礎調査を進めている。今回教室が開かれたスワンリンクは冬季限定だ。県企画調整課によると、年間のコストだけ見れば、通年で氷を張る方が高くつく見込みだが、そのコスト以上の興行収入が得られる可能性もあるため、精査する必要があるという。
来年2月の定例県議会では、調査の進捗(しんちょく)報告に合わせ、来年度以降の追加調査も提案したい考えだ。追加調査をもとに、立地や設置時期などの詳細についても検討していく方針だ。(小川尭洋)
高橋大輔さん語る 「滑走屋」のネーミングの由来
教室の後、高橋さんらが報道陣の取材に応じた。主なやり取りは次の通り。
――スケート教室の感想は?…
- 小川尭洋
- デジタル企画報道部
- 専門・関心分野
- 人種差別、海外ルーツの人々、歴史認識、政治と教育
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