「ヘイトクライム起こしかねない」性別変更要件巡る知事発言に抗議
性同一性障害者を支援する市民グループ「紫の風」(松江市、上田地優〈ちひろ〉代表)は9日、性別変更要件に関する10月の最高裁決定を受けての丸山達也島根県知事の発言について、「性同一性障害者に対する誤解を生む可能性がある」として、知事宛てに抗議文を出した。
最高裁は10月25日、性同一性障害特例法の性別変更の要件のうち、生殖能力をなくす手術を必要とする規定を違憲とし、変更する性別の性器に似た外観を備えるという要件については判断せず、審理を高裁に差し戻した。
丸山知事は10月26日の定例会見で、外観の要件に関連し、本人の主観で性別を決定すると悪意を持った人の犯罪行為も起こり得るとして、「トイレに入るまでは男性として振る舞っていて、入った瞬間に女性なんだと主観が変わる」との例を挙げ、「主観で(性別を)決定する仕組みを認めると混乱が避けられない」などと述べていた。
抗議文では、「トイレに入る前は男性で、入ったら自分は女性である」という趣旨の発言は、性同一性障害で苦しむ人たちへのヘイトクライムを引き起こしかねないと指摘し、発言の撤回を求めた。
戸籍上は男性だが女性として生活する上田代表は「女性として生きるということは、女性用のトイレや浴場に入ることを目的としているわけじゃない。人として生きるということなんです。(男女を)切り替えることはできない」と語った。丸山知事は「制度を悪用する人のことを心配される方々がおられるのも事実。こういった方々を含めた相互理解が大事」などとするコメントを出した。
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