ハネムーンで人気のモルディブってどんな国?親中派政権誕生の実態は

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聞き手・岩田恵実

 透き通った青い海と珊瑚礁(さんごしょう)、南国風の水上コテージ。そんなリゾート地のイメージが強いモルディブはハネムーンの行き先として人気です。一方で、モルディブが位置するインド洋では、大国インドと中国がパワーゲームを繰り広げています。9月末にあったモルディブの大統領選では「親インドの現職が敗れ、親中派が勝利」と報じられました。17日に新政権がスタートするこの国で何が起きているのでしょうか。国際協力機構(JICA)の高城元生(たきもとお)・モルディブ支所長に聞きました。

 ――モルディブとはどのような国でしょうか。

 モルディブは縦長に並ぶ1200くらいの島からなる島嶼(とうしょ)国です。南北約820キロほどの距離があります。モルディブ人が住んでいる「住民島」は187あります。リゾートを展開する島は年々増えていて177あり、全く利用されていない無人島も数多くあります。

 人口約51万人のうち、モルディブ人は約38万人で、外国人が約13万人。約20万人が首都のマレに密集して住んでおり、5千人以上が住む島は首都以外では四つしかありません。イスラム教が国教で、イスラム教の風習に従って生活しています。

 主な産業である観光業の貢献で1人あたりのGDPは1万ドルを超え、高位中所得国のカテゴリーに属しています。水産業もさかんでまぐろやかつおがとれ、1人あたりの魚介消費量は世界1位とも言われています。かつおは日本のように生では食べず、スープに入れたり、かつお節のようにしたりして食べています。

 ――日本とはどのような関係があるのでしょうか。

 モルディブは非常に標高が低く、気候変動の影響を受けやすい国です。1987年に高潮が襲い、マレ島の3分の1が冠水したことがありました。日本はこの災害で緊急援助をしたのをきっかけに、マレ島の周囲に防波堤を作る支援をしました。防波堤は2004年のスマトラ島沖地震の高波の被害を防ぎ、日本はとても感謝をされました。

 11年の東日本大震災の時には、今度はモルディブがテレビで国民に援助を呼びかけ、ツナ缶69万個を日本に支援物資として送ってくれました。その他、日本は同じ漁業がさかんな国として、漁船の機械化を進めるなどの支援もしています。

受刑者の死亡がきっかけで民主化へ

 ――モルディブでは9月に大統領選がありました。政治体制はどのような変遷をたどってきたのでしょうか。

 イギリスの保護領から196…

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