「教員や学生の声も聴いて」働き方改革めぐり、若手教員ら国に要望

高嶋将之
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 公立学校教員の働き方改革に関する議論が中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で続くなか、現役教員や学生ら有志が8日、現場の教員の期待に沿った議論になっていないとして、教員や教員志望の学生の意見を聴く場を設けることなどを文科省に要望した。

 中教審は現在、特別部会で教員の働き方改革や給与増などの検討を進めており、来春までに答申をまとめる方針。8月には特別部会が、教員業務支援員の全公立小中学校への配置、主任や管理職の手当増額などを提言した。ただ、緊急に取り組むべき事項に絞ったため給与をめぐる法改正は含まれず、学校がすぐに取り組めるような提案も乏しいとして現場の教員から失望の声も出ていた。

 政策に若者の声を採り入れるよう訴えている一般社団法人「日本若者協議会」が提言についてインターネットでアンケートを実施したところ、教員1253人と教員志望の大学生・高校生など174人の計1427人が回答。「期待に見合っていない」または「期待以下だった」と答えた教員は約8割に上った。「具体性が必要」「もっと思い切った業務削減を」などの意見が寄せられたという。

 有志はこの日、「教員をめぐる環境は教育の質に直結する」「(中教審での議論は)教員志望学生の増減にも大きく関わる」などとして、特別部会で教員や学生から意見を聴くべきだとする要望書を提出した。

 記者会見で公立小学校教諭の斎賀裕輝さん(29)は「業務量が多いため、子ども一人一人と向き合う時間が確保できない」とし、少人数学級の実現や授業時数の削減を求めた。また、協議会代表理事の室橋祐貴さんは「どう決まったのかということに納得できないと、不満がたまりつづけてしまう。議論の透明性を高めてほしい」と述べた。

 文科省の担当者は取材に「関係団体から特別部会に提出された意見を通じて学生の不安についても把握はしている」と説明。学生らからの意見聴取については「今後の審議状況に応じて検討していく」とした。(高嶋将之)

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