廃棄する梅酒の実で特産品 盛岡農高の生徒が手伝い、ジャムや甘露煮

東野真和

 岩手県釜石市の酒造会社「浜千鳥」では、梅酒を造っている。しかし、製造後には梅の実が残ってしまう。それを有効活用し、廃棄をなくそうと、県立盛岡農業高校(滝沢市)の生徒たちがジャムや甘露煮などを作った。10月の学園祭や大槌町でのイベントで販売したところ、大好評。プロデュースした同町の企業は今後も実の再利用を考えたいとしている。

 浜千鳥は2010年から釜石市や大槌町の農家に呼びかけて梅を育ててもらい、梅酒を造っている。ただ、大量の梅の実が残るため、再利用できないかと考えていた。それを知った大槌の企業が昨年産の梅酒を造って残った梅の実1トンを引き取り、商品開発した。

 大槌には、御社地(おしゃち)天満宮がある。東日本大震災の津波で消失したが、21年に再建された。同天満宮は「飛梅」で知られる福岡県の太宰府天満宮から分霊されていることから、町で食品製造などを手がける甘輝舎(かんきしゃ、小向祥子社長)が梅を使った土産物を作り、名物にできないかと考えた。

 交流があった盛岡農高の食品科学科に依頼。生徒たちはジャムや甘露煮、そのジャムを入れたカニの形をしたパンなどを作った。

 ジャムはアルコール分が抜けて、あっさりした味だが、梅の風味はそのまま残る。10月8日のおおつち産業まつりと同28、29日の盛岡農高の学園祭で、合わせてジャム154瓶、甘露煮20瓶を売り切った。パンもあっという間に完売した。同校では、今後も需要があれば作るという。

 生徒たちのおかげで、浜千鳥の昨年産の実は、別の企業に卸して商品化した分も含め、廃棄ゼロを達成した。甘輝舎の小向社長は「今後も色んな特産品を開発して、廃棄ゼロとの一石二鳥を目指したい」と意欲を見せている。(東野真和)…

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