第4回マストに掲げられた「F旗」 いずもとライトニング空母の共通点とは
海上自衛隊最大の護衛艦いずもの艦内に、「歴史保存室」と表札のかかった部屋がある。
入室すると、正面に1枚の旗が大きな額縁に入れられ、大切に保管されていた。縦84センチ、横96センチ。白地に赤のひし形が描かれている。
F旗だ。
この旗は、NATO(北大西洋条約機構)加盟国の海軍で用いられる「NATOコード」で、アルファベットのFを示し、「本艦は固定翼機を運用中」という意味だ。「Fixed Wing Aircraft」(固定翼機)からFが取られたという説がある。
「歴史的な日」
2021年10月3日朝。四国沖を航行するいずものマストに、このF旗が掲げられた。米海兵隊岩国基地(山口県)所属のF35B戦闘機2機が、いずもに着艦した。
いずもは、20年春ごろから21年6月ごろにかけて、飛行甲板の耐熱強化など部分的に改修されたが、実際に戦闘機を運用できるのかを検証する試験だった。
海自の艦艇にF旗が掲げられたのは創設以来初めてであり、初めて固定翼機の発着艦を成功させた「歴史的な日」(海自幹部)にもなった。
「旧海軍の空母で零戦を運用していた以来の快挙」と評する幹部もいる。
額縁のF旗には、米海兵隊のF35Bのパイロットらのサインも書き込まれていた。
いずもの甲板を歩くと
これまでヘリコプターを運用してきた飛行甲板で戦闘機も発着艦できるよう改修し、事実上「空母化」されたと指摘される海自の「いずも」型護衛艦(いずも、かが)。
事実上の「空母化」が進む海上自衛隊最大の護衛艦いずも。今夏、インド太平洋の海域を3カ月半にわたって航行しました。この航海に同乗して見えた、いずもの現状や、海洋進出を強める中国とせめぎ合う安全保障の「最前線」を報告します。
全長248メートルあるいずもの甲板を歩くと、艦首から艦尾にかけて5カ所ある発着艦スポットのうち、艦尾側の第4、第5スポット周辺に他の部分と色あい、材質が異なる一帯があった。触ってみると、他の部分よりつるっとしている。晴天下、この一帯だけ他より熱く感じた。
いずもの広報担当者は「色や…