パレスチナ問題は宗教対立じゃない? 複雑な事情をやさしく解説

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伊藤弘毅 浪間新太

 ――パレスチナとは?

 もとはアジアと欧州の間にある中東のうち、地中海の東側に面した地域の名称だった。この地名は、かつて「ペリシテ人」と呼ばれる人たちが住んでいたことにちなむ。この地にあるエルサレムは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教という三つの宗教にとって大事な場所だ。それぞれの聖なる場所がこの都市のなかにあるためだ。その支配を巡って、キリスト教の国とイスラム教の国の間で、何度も争いが起きてきた。

 現在パレスチナと呼ばれる地域の範囲は、この場所を治めていた英国が、20世紀の初めに決めたものだ。

イスラム教とユダヤ教の争いだと思われがちだけど…

 ――パレスチナで誰が、なぜもめている?

 いまのパレスチナ問題は、イスラム教とユダヤ教による宗教間の争いだと思われがちだ。ただ実際は、パレスチナの土地を巡る争いだ。1948年、それまで自分たちの国を持たなかったユダヤ人が、イスラエルという国をつくった。その時、この土地に長く住んできたパレスチナ人(アラブ人)を追い出したことで、両者の間に争いが起きた。

 ――対立のきっかけは?

 約2千年前、パレスチナにあ…

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この記事を書いた人
伊藤弘毅
アジア総局員兼ニューデリー支局員|アジア経済担当
専門・関心分野
南アジア、東南アジア、開発、エネルギー
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]