急逝の漫画家「坂本ですが?」の佐野菜見さん 尽きない情熱、アバヨ

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真常法彦
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 人気作「坂本ですが?」「ミギとダリ」をのこし急逝した漫画家の佐野菜見さん。周囲を圧倒する熱意で愛する漫画と向き合い、読む者の日常を穏やかな笑いで彩った。

 初めての連載漫画にして代表作「坂本ですが?」(KADOKAWA、全4巻)は、何をさせてもクールかつスタイリッシュに決めてしまう男子高校生が主人公だ。

 スーパーの試食コーナーを巡る様が優雅すぎてまるで立食パーティーだとうわさされ、ゲームセンターではワニたたきゲームでバッハの旋律を奏で、店主をうっとりさせる。

 絵のタッチは硬質。登場人物の大まじめな振る舞いのなかに、思わずクスッとする笑いをちりばめる。

 「なんでやねん」というツッコミはあえて作中に織り込まず、笑いの解釈は読者に委ねる独自のスタイルが広く支持された。

 新人漫画家を積極的に起用する漫画誌「フェローズ」(現ハルタ)で連載が始まったのは2012年だった。翌年に単行本化、16年にアニメ化された。

 主人公が通う高校は、自身が卒業した兵庫県西宮市の県立鳴尾高校がモデルになっている。周辺の街並みも多く描かれ、国内外から多くのファンが「聖地巡礼」に訪れた。

 仕事仲間の評は「向上心の塊」。若手漫画家の成長に伴走する同誌の象徴的な存在だった。

 今年5月、腹部に張りを感じて検査を受けた。

 卵巣に腫瘍(しゅよう)が見…

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