大使館からパン会社に突然の電話 つないだのは「イギリストースト」

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野田佑介
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 7月初旬、青森市のパンメーカー「工藤パン」の本社に1本の電話がかかってきた。受付の女性が出ると、相手の男性は「イギリス大使館の者です」と日本語で名乗った。

 驚いた女性は、総務部の青山忍さん(51)に電話を回した。用件を聞くと、「(ジュリア・ロングボトム)大使が青森に行く予定があるので、工藤パンさんの本社と工場を訪ねたい」という。

 これまで外国の大使が来たことなどなく、青山さんは冗談と思いながら、会長の工藤恭裕さん(61)に報告した。

 工藤パンは、青森県むつ市で1932年に創業した小さなパン店が発祥だ。

 看板商品は「イギリストースト」。食パンにマーガリンを塗り、グラニュー糖をまぶして挟んだもので、使っている山型食パンが「イギリスパン」と呼ばれることから名付けた。

 同社では、イギリストーストを67年ごろに売り出したあと、商品の特徴を出すため、76年にイギリス国旗をデザインしたパッケージに変えた。

 ところが、商品を卸し先に持っていくと、思わぬ指摘を受けた。

 「それ、イギリスから許可をもらっているの?」

おそるおそるかけた電話、大使館の答えは…

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 当時の総務部長がおそるおそ…

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2023年11月6日6時45分 投稿
    【視点】

    筆者は今、英国に住んでいますが、高校生までは秋田や青森で育ちました。  東北に住んだことがある方は、このパンをどこかで見たことがあるのではないかと思います。マーガリンがパンに溶けずに砂糖と一体化しているので、冷たいままのパンでもとても

    …続きを読む