まとめサイトや動画に、溶けるニュース 「ただ乗り、AIで拍車」

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田渕紫織
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 ウェブメディアが生成AI(人工知能)を使って書いた記事が、他の報道機関の記事からの盗用だったとして取り消されたケースがありました。こうした「フリーライド(ただ乗り)」は、生成AIの浸透により、氷山の一角との指摘もあります。「シン・情報戦略」の著書があるJX通信社代表取締役の米重克洋さんに現状を聞きました。

瞬時にフリーライド

 ――ニュース記事へのフリーライドはどの程度広がっているのでしょうか。

 事件などで容疑者や関係者の氏名が報道されるとすぐ、いわゆる「まとめサイト」が相次いで立ち上がります。配偶者や子どもがいるのか、勤務先や出身校はどこかなどをSNSで検索しているのでしょう。クリックしてみると、「調べたけど分かりませんでした」という結論になっているまとめ記事もよくあります。

 事件発生などのニュースが最初に報道されて固有名詞が出て、それが世の中に広まるまでの間に、いかに最短でアップできるかの時間勝負です。その後テレビやネットニュースで取り上げられるたびに検索流入し、広告収入につながります。作成には生成AIが使われているのではないかと思って見ています。

 ――なぜ、生成AIが使われていると?

 そうしたまとめ記事の多くは…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年11月4日10時18分 投稿
    【視点】

    「生成AIでそれっぽい情報は誰でも作り出せてしまう今、報道が持続していくためには何が必要でしょうか」というお題に対して、「自分の利害に関わらない限り、それっぽければとりあえずヨシ」と感じる情報消費者が実際には多いように感じられる。そのへんも

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    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授)
    2023年11月5日1時54分 投稿
    【視点】

    ゲーム業界では,1980年代にアタリショックと呼ばれる市場の崩壊が発生したことがあります.粗悪なゲームが大量生産されたことによって,消費者がゲームの購入をやめたことが原因と言われています.このままいくと生成AIによるニュース生成も同様の結果

    …続きを読む