ピンチの九戸村を救え!応援映画「青春ドデン」完成 各地で上映会
人口減少が止まらない岩手県九戸村と地元唯一の高校の魅力を全国に広めようと作られた映画「青春ドデン」(制作・九戸村映画製作委員会)が完成した。自然豊かな村にやってきた移住者たちを描いたファンタジー映画で、11月10日から県内各地や東京、仙台市で上映される。
村は北上山系の最北端に位置し、面積約134平方キロの7割は山林原野が占める。映画には、役場職員や県立伊保内高校の生徒、村非公認キャラクターのキングオブチキンのほか、エキストラで多くの村民たちが出演した。
村民有志が製作委員会を立ち上げ、制作費はクラウドファンディングや寄付などでまかなった。盛岡市で行われた撮影には資金を支援した県外の人々も参加した。
村は戦国時代、豊臣秀吉の天下統一に少数の勢力で抵抗した武将、九戸政実(まさざね)が生まれたと伝えられる。しかし、過疎化が進み、1980年に8496人だった人口は約5千人に減少。伊保内高校は生徒数が減り続け、今は約50人。将来的に存続が危ぶまれている。
村の人たちはこの映画で九戸を知ってもらい、移住定住や高校入学者の拡大につなげ、明るい未来をつくり出そうと考えている。
出演したのは総勢約300人の素人ばかりだが、「ドデン」という方言の通り、驚きの展開が続き、飽きることない102分間の本格映画に仕上がった。
10月31日に九戸村公民館で完成試写会が開かれた。製作委員長で自らも悪役として名演技を見せた伊藤仁副村長は「九戸の魅力がいっぱい詰まった作品。思いをこめ、力を合わせてがんばりました」と照れ笑い。柴田清克監督は「100点満点で120点。携わってくれたみなさんに感謝しかない。挑戦する心や人と接する楽しさを表現できた。九戸に移住してもやっていけると感じてもらえると思います」と話していた。
上映会は10日(九戸村)、11日(九戸村、二戸市)、12日(盛岡市)、17日(同)、19日(二戸市)、12月1日(東京)、3日(仙台市)。入場料は1千円で、高校生以下無料。詳細は公式サイト(http://kunohemovie.wp.xdomain.jp/)へ。(小幡淳一)