再審請求中の死刑執行は「自由権規約に違反」 訴訟で元弁護人が主張

山本逸生 森下裕介
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 再審請求中の死刑執行で弁護権を侵害されたなどとして、元死刑囚の弁護人だった3人が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が1日、大阪地裁であった。原告側は、国際条約である自由権規約が「再審請求中に執行されない権利を保障している」と指摘し、日本の死刑の運用は規約違反にあたると主張した。

 訴状によると、原告の弁護士3人は、2018年12月に死刑が執行された元暴力団幹部、岡本(旧姓・河村)啓三元死刑囚の再審請求の弁護人を務めていた。岡本元死刑囚は1988年、大阪府内で2人を殺害し、約1億円を奪った強盗殺人などの罪で、2004年に死刑が確定した。

 原告側は、自由権規約が死刑囚に対し、減刑などを求める権利を認めていると指摘。19年には国連自由権規約委員会が規約の締約国に向け、「結論が下される前に執行されないことを保障しなければならない」との意見を出したとも主張した。

 一方、国側は、自由権規約には再審請求が含まれていないと反論し、規約や意見には法的拘束力がなく「応じなくても違法とはいえない」として、請求の棄却を求めている。

 この国側の反論に対し原告側は、国際人権法が専門の北村泰三・中央大名誉教授の意見書を提出。北村氏は「規約の条文は死刑判決を見直す手続き一般を例示したもので、日本の再審請求を含む」「委員会の意見に法的拘束力がなくても、最大限尊重する義務がある」と指摘した。(山本逸生、森下裕介)

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