原発の運転延長は「毒まんじゅう」 低い電気料金の陰で残る危険性

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福地慶太郎 矢田文

 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、原子力規制委員会は1日、原則40年の運転期間を60年に延ばすことを認めた。

 原発の稼働は電力会社にとって経営改善の効果が大きく、長期の運転をめざす原発はさらに増えそうだ。ただ、古い原発を長く使うことへの懸念もある。

川内1、2号機の稼働で年1560億円の収支改善

 「原子力を安全最優先で活用していくことが非常に大切だ。その大きな一歩だと感じている」

 九電原子力発電本部の林田道生・副本部長は1日午後、原子力規制委員会から運転延長の認可書を受け取ると、こう述べた。

 川内原発1、2号機の運転によって火力発電の燃料費などを抑えることができ、年1560億円程度の収支改善効果があるという。こうした事情はほかの電力各社も同じだ。

 岸田政権が今年2月に閣議決定した方針では、原発の60年超の運転を認めることに加え、新規原発の建設も盛り込まれた。

 ただ、エネルギー問題に詳しい国際大の橘川武郎学長は「実際に進むのは運転延長」とみる。原発の新規建設は数千億円から1兆円ほどかかるとみられるが、運転延長は保守点検などの費用が数百億円で済むからだという。

 橘川さんは「運転延長であれ…

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